21世紀のグレン・グールドと言ったら褒めすぎか?2015年03月02日





2015年3月2日(月)
小林研一郎+全国の有志演奏家による特別編成オーケストラ@サントリーホール

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(Pf:反田恭平)
 ~ アンコール曲 ~
 ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲第18変奏
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チャイコフスキー:交響曲第5番

「がんばろう!日本スーパーオーケストラ 毎日希望奨学金チャリティーコンサート」と銘打たれた今回のコンサート。
今回で5回目の開催。
元々は東日本大震災の被災者を勇気づけることから始まったとのこと。
発起人は読響コンマスの小森谷巧さん。
小森谷さんの声掛けで、関東地方は言うに及ばず、札幌(北海道)、山形、京都、大阪、兵庫、広島などの各地からメンバーが集結。
被災地の仙台(宮城)からも賛同者が…
下世話な疑問だけど、皆さんノーギャラなんだろうか?
 
司会進行はラジオでお馴染みの小森谷徹さん。
ん?、コンマスと同じ名字だ。
偶然?
いえいえ、後で知ったけどお二人は従兄弟とのこと。
なるほど、そう言うことですか。

前半のピアノコンチェルト。
ソリストの反田恭平さんは弱冠20歳。
この前、成人式に出席したばかりとのこと。
僕の長男坊と同じ歳だ…

彼のピアノはとてもアグレッシブ。
そして、一音一音に魂が込められているので、とても心地良い。
こんなにベタな名曲でも、彼の手に掛かるといつもと違って聴こえてくる。
例えが的外れかも知れないけど、彼のピアノに対するアプローチは、グレン・グールドのそれと良く似ているような気がする。
彼のことを21世紀のグレン・グールドと言ったら褒めすぎだろうか?

使用ピアノはタカギクラヴィア㈱所有の1912年製スタインウェイ「CD75」。
あのホロヴィッツが愛した名器とのこと。
その音色の特徴は、一言で表すと「ふくよか」。
高音部はどんなに強く打鍵しても耳障りにならず、低音部の音色は微かにチェンバロのような「まろやかさ」を帯びている。
敢えて欠点を挙げるとしたら、若干「くぐもった」感じがすることぐらいかな?

この頃、憂鬱な日々が続いている僕にとって、彼の音楽は正しくカンフル剤。
ブルーな気分が一時とはいえ消え去った。
反田君、ありがとう!
今後の益々のご活躍を期待しています。

後半は、これまたベタなチャイ5。
コバケンのタクトも冴え渡り、オケの面々も生き生きと演奏でそれに追従。
予想どおりの素晴らしい演奏、ありがとうございました。
あまりに反田さんが凄かったので、影がちょっと薄くなってしまったけど…

チャイ5の後は会場のお客さん全員で「ふるさと」を合唱。
ちょっと気恥ずかしかったけど、思い出のコンサートとなりました。
早く次回が来ないかなぁ。

また来てください、キット2015年03月03日

2015年3月3日(火)
キット・アームストロング(Pf)@武蔵野市民文化会館 小ホール

バッハ:パルティータ第1番BWV825
モーツァルト:ピアノ・ソナタ ニ長調 K576

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バッハ:インヴェンション第1番 BWV772
    幻想曲 BWV918
    コラール前奏曲「いと高きところにいます神にのみ栄光あれ」BWV711
    デュエット第2番 BWV803
    カノン(「フーガの技法 BWV1080」より)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101

 ~ アンコール曲 ~
 モーツァルト:ロンド イ短調 K.511




楽しみにしていたキット・アームストロング。
でも、先週末に受けた内示のショックが尾を引いていて、彼の演奏に集中できない。

ごめん、キット。
また日本に来てください。
その時は万全の体制で臨みますので…

ヒラリー・ハーンは外見も内面もスケールアップしていた2015年03月07日



2015年3月7日(土)
エサ=ペッカ・サロネン+フィルハーモニア管弦楽団@東京芸術劇場

シベリウス:交響詩「トゥオネラの白鳥」 「レンミンカイネン」組曲より第2曲
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調(Vn:ヒラリー・ハーン)
 ~ アンコール曲 ~
 バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番よりLoure

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ベートーヴェン:交響曲第3番「「英雄」
 ~ アンコール曲 ~
 シベリウス:悲しきワルツ


驚いたのはハーンの外見。
事前に知ってはいたものの、特におなか廻りが…
ご懐妊説があるのも頷けます。
本当のところはどうなんでしょう?
どこかに事情通はいらっしゃいませんか?

で、問題はハーンの演奏。
結果は、外見に劣らず内面もスケールアップ!
以前とは異なり、限界まで自分を追い込むような演奏スタイルは影を潜め、淡々した、だけど決して無味乾燥ではない味わいのあるものになっていました。
超絶技巧を全面に押し出さず、控えめで内省的な演奏が春の日差しのような心地良さを感じさせてくれます。

アンコールはバッハ。
その静かな語り口は、以前の彼女のそれとは全く異なるものと言っても言い過ぎではない、彼女の深化が見て取れる素晴らしい演奏でした。
今までは彼女のバッハは、刺々しくてあまり好んで聴きたいとは思わなかったけど、これからは考え方を改めないといけないようです。

後半はベートーヴェンのエロイカ。
サロネンのタクトはとても小気味良く爽快!
オケの精度も素晴らしく、弦楽セクションの一糸乱れぬ演奏、厚みのある金管、暖かみのある木管、それらを下支えする打楽器群、全てがハイレベル。
クレンペラーが育て上げたフィルハーモニア管の魂は、今もしっかり受け継がれているようです。

海外のオケでこれだけ満足できたのは久しぶり。
サロネンの功績も評価しないといけません。
良い演奏を本当にありがとうございました。
また来てください。待ってます。

持つべきものは同好の士2015年03月15日





平成27年3月15日(日) 
アレクサンドル・ラザレフ+日本フィルハーモニー交響楽団@杉並公会堂 

チャイコフスキー:バレエ音楽「眠りの森の美女」(ラザレフ版) 

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ムソルグスキー=ラヴェル編:組曲「展覧会の絵」 
 ~ アンコール曲 ~ 
 エルガー:「子供の魔法の杖」より第6曲「野生の熊」 


時刻は午後2時50分。 
何とかギリギリで杉並公会堂に到着。 
エスカレーターを上ると、そこに当日券売り場が… 
係の女性がシートマップを見せてくれる。 
と、まだB席3,000円が残っているじゃないですか。 
ステージ裏だけど、安いし、ラザレフの表情も見られるし、これに決定! 

午後3時の開演時刻。 
おや? 
ラザレフが女性の通訳を連れてステージに現れた。 
なるほど、開演時刻を迎えてからのプレトークですか。 

「ムソルグスキーやキュイはチャイコフスキーのことを認めていなかった」とか、「バレエ音楽の2/3は跳んだり跳ねたり用。今日は残り1/3のまともな部分をやります。」とか、延々15分もレクチャーが… 
前の席に座っている5~6歳の女の子、退屈そう。 

懇切丁寧なプレトークが終わり、ようやく演奏開始。 
前半はチャイコフスキーの「眠りの森の美女」。 
ラザレフがプレトークで言っていたけど、確かに「白鳥の湖」の方が有名かも知れない。 
でも、こうやってラザレフのダイジェスト版を聴いてみると、「眠りの森の美女」にも良い曲がちりばめられていることに気付かされる。 
さすが1/3。「バレエも観てみたい」と思わせるほどの名演だ。 

後半は「展覧会の絵」。 
いやはや、出だしのトランペットを聴いただけで鳥肌が… 
何度も聴いているはずなのに、この感動は何だろう? 

ん~、トランペットだけじゃない。 
他の金管も精度が高い! 
いやいや、金管だけじゃない。 
木管も打楽器も弦も、全てがパーフェクト。 
オケの皆さんは常に真剣に演奏しているんだろうけど、それにしても今日の演奏はレベルが高い。 
やっぱり、指揮者次第でオケから引き出される音って実際違うんだよなぁ。 

演奏が終わり、盛大な拍手とブラボー。 
ラザレフは「今回の名演はオケのメンバーのお陰」と身振り手振りで何度も表現。 
ん~、実に謙虚。 

そしてアンコール曲。 
ラザレフは正面を向いて「ヤセイノクマ」と3~4回ご発声。 
いやいや、5回かな? 
何ともチャーミングなマエストロです。 


いや~、やっぱり持つべきものは同好の士。 
MOKU_NAOさん、貴重な情報をありがとうございました。 
お陰様で良い日曜日になりました。

名曲喫茶「バロック」でマッタリしていたら…2015年03月15日

平成27年3月15日(日)

明日月曜日が確定申告の最終日。
それに間に合わせるため、昨日の土曜日はほぼ一日かかりっきりで書類作成に没頭。
お陰で今日日曜日は一日フリータイム。
ぼんやりとテレビを眺めつつ遅めの朝食を済ませ、吉祥寺まで行くことに…
時刻は午前11時ちょっと前。
電車で行くか、チャリで行くか迷ったけど、結局「徒歩」を選択。

1時間ほど歩いて12時2分に名曲喫茶「バロック」に到着。
開店2分後なので他にお客さんはいない。
絶好のチャンスなのでブルックナーの9番があるか所蔵レコードリストを確認。
ところが、8番まではあるものの9番はない。
諦めきれず(亡くなった店主の)奥さんにリスト外のブル9があるか尋ねてみると、結果は「なし」。

結局、ブラームスのダブル・コンチェルトをリクエスト。
指揮はジョージ・セル、オケはクリーヴランド管弦楽団、ヴァイオリンはダヴィッド・オイストラフ、チェロはムスティスラフ・ロストロポーヴィチ!
何とまあ豪華メンバーなこと。
LPだとそれほど魅力的な響きではないけれど、実際生で聴いたら凄いんだろうなぁ~
どこかにタイムマシン落ちてないかなぁ?

ブラームスが終わり周りを見渡すと、いつの間にかお客さんが二人増えていた。
そのどちらのリクエストなのかは分からないけど、次の曲はシューマンのピアノ・コンチェルト。
曲そのものはとてもポピュラーだけど、ソリストがバックハウス。
さらに指揮者がヴァントでオケがウィーン・フィル。
ん~、何だかお尻がムズムズする組み合わせだなぁ~

いえいえ、聴いてみると何とも心地良い。
バックハウスもこんな「まろやかな」な演奏をするとは知りませんでした。
ヴァントのタクトも軽快!
良い意味で予想を裏切ってくれてありがとうございます。

時刻はもうすぐ午後2時。
もうちょっと居座ろうと思っていたところに、Twitterから次のような情報が…
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都内近郊の方、お時間あるなら杉並公会堂へラザレフさん日フィルを聴きに行きましょう♬
当日券ありますよ〜
S席でも5000円ですから、かなりお得です♬
開演15時からですからまだ間に合います♬
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これは行くしかないでしょう!
料金を支払い、バロックを出る。
でも、ちょっと小腹が空いているので寄り道して「戎ビアホール」へ。
簡単な肴と銀盤の純米吟醸を注文。
ん~、日本酒って旨いなぁ~
でも今日は時間がないので一杯で終了なのです。

昼下がりのアルゼンチン・タンゴ2015年03月21日



平成27年3月21日(土)(祝)
チコス・デ・パンパ@東京文化会館 小ホール

-出演-
アルゼンチン・タンゴ・バンド:チコス・デ・パンパ
 ピアノ:宮沢 由美
 バンドネオン:北村 聡
 ヴァイオリン:永野 亜希
 コントラバス:佐藤 洋嗣
 バンドネオン:鈴木 崇朗
 ヴァイオリン:吉田 篤貴
ダンサー:マルティン&ユカ

-曲目-
ホベス:ロカ
サボリード:フェリシア
メロ:心の底から
ダリエンソ:拍車
バルディ:盲目の雄鶏 *
デ・グージョ:涙と笑い
ビジョルド:エル・チョクロ
ベビラクア:独立
パドゥーラ:7月9日
カナロ:レリキアス・ポルテーニャス *
アイエタ:蝶々
スカルピーノ:パリのカナロ
カスティージョ:黄昏のオルガニート
アローラス:デレーチョ・ビエホ
フェルナンデス:愛の痛み
ラタサ:ビクトリア・ホテル
アレシオ:ビエン・ポルテーニャ
フィリベルト:バンドネオンの嘆き *
カバジェーロ:これが王様だ
ラサリ:マス・グランデ・ケ・ヌンカ
カステジャーノス:メタ・フィエロ
バルディ:突風
デ・カロ:エル・アランケ
マトス・ロドリゲス:ラ・クンパルシータ *
*踊り


午前中に墓参を済ませ、午後は上野の東京文化会館へ。
今回はクラシックではなくアルゼンチン・タンゴ。

お客さんの年齢層はクラシックのそれより更に高い。
やっぱり、最近の若い人達はタンゴを聴かないみたい。
かく言う自分も生タンゴは今回が初めて。
ほとんど知らない曲ばかりでいつもと勝手が違う。

それにしても、攻撃的で歯切れの良い演奏。
日本にも良いバンドがあるんですね。

そして、マルティン&ユカ。
生ダンスを観るのも今回が初めてだったけど、間近だと文字通り「鳥肌」もの。
良くもまあ、次から次へとパターンを変えて踊れるもんだと感心しきり。

欲を言えば、個人的に大好きな「Quiero ser tu Sombra〜あなたの影になりたい」を聴きたかったけど、次の機会に取っておきましょう。


追記:
小ホールに向かうスロープ左側の壁面に、リヒテル生誕100年を記念して数多くの写真が展示されていた。
久しぶりに彼のラフマニノフでも聴いてみようかな。



河村尚子さんのプロコフィエフ、最高です!2015年03月22日



平成27年3月22日(日)
大友 直人+群馬交響楽団@すみだトリフォニーホール

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番(Pf:河村 尚子)
 ~ アンコール曲 ~
 ショパン:マズルカ イ短調 作品17-4

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マーラー:交響曲第1番「巨人」


ここに来たのは何年ぶりだろう?
恐らく、約2年前のフランス・ブリュッヘン+新日本フィル以来だと思う。

今回のお目当てはプロコフィエフのピアノコンチェルト。
この名曲かつ難曲を河村さんがどう料理してくれるかとても楽しみです。


結果は予想に違わず素晴らしいものでした。
時に繊細、時に豪快。
今回聴いた席は3階の末席。
それでも、彼女の気迫がひしひしと伝わって来ます。

問題は指揮と演奏。
第一楽章こそ色鮮やかで景色が目に浮かんでくる程の名演だったものの、第二楽章のシンコペーションでは河村さんと微妙に息が合っていないし、第三楽章の前半は面白みが全くない無味乾燥なもの。
何でこんなにつまらない指揮ができるのか、理解に苦しみます。
群響の演奏はと言うと、金管、特にホルンが安定性に欠け、せっかくの河村さんの名演にケチを付ける形に…
ん~、ちょっと残念な前半だったけど、アンコールのショパンが良かったから、まあ良いか。

後半はマーラーの巨人。
第二、第三楽章は極上の美しさをたたえ、最終楽章ではそれに揺るぎない推進力が加わり、まさに大友サウンド全開!
スタイリッシュな指揮をさせたら、日本国内では大友さんの右に出る者はいないんじゃないだろうか?

ただし、問題は第一楽章。
若干遅めのテンポは良いとしても、一音一音にテンポに見合うだけのエネルギーが不足しているため、まるで失速寸前の飛行機に乗っている様な不快感が最後まで拭えなかった。


今回のコンサート。
主目的がプロコフィエフだったので、河村さんの演奏には大満足だったけど、もうちょっと廻りがしっかりしてくれないと締まらないよなぁ。

ヤノフスキのブラームスはシンプルなデコレーション・ケーキ2015年03月23日



2015年3月23日(月)
マレク・ヤノフスキ+ベルリン放送交響楽団@武蔵野市民文化会館

ブラームス:交響曲第1番
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ブラームス:交響曲第2番
 ~ アンコール曲 ~
 ワーグナー: 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕への前奏曲


本当は先週のサントリーホールでのブルックナーを聴きたかったけれど、業務都合により泣く泣くキャンセル。
でも、転んでもタダでは起きず、ここ武蔵野市民文化会館にやってきました。

今日はブラームスの交響曲全曲演奏の第一日目。
順番は前半が一番、後半が二番。
ん~、盛り上がりを考えると順番を逆にした方が良いような気もするけど…

第1番第1楽章の冒頭、オーボエ(?)がいきなりコケたので嫌な予感が頭をよぎる。
でも、リードの湿りが不十分だっただけなのか、その後は持ち直し、良い感じになってきた。

それにしても、ヤノフスキ。
小柄だけど眼光が鋭く、目を合わせるのが怖いほど。
彼のタクトはとてもシンプル。
極端な緩急強弱は用いず、平均より若干速めのテンポ。
でも、決して無味乾燥なものではなく、とても小気味良い。
オケの面々も適度の緊張を保ちながら、そして時に微笑を浮かべながらそれに追従。
特に弦の重く美しい響きはベルリン放送響ならでは。

最終楽章になってはじめて気づかされたのは彼の構成力。
プロゴルファーはゴルフコースの攻略法を練る時、グリーンでのパッティングから逆算して考えると言われているけど、彼も正にそれ。
第1、第2、第3楽章と進むにつれ、音の厚みが増して行き、最終楽章で最高潮に達するそのストーリーには素直に脱帽。
真後ろに座っているブラボーマンが「ブラボー」とか「ブラビー」とか何度も叫ぶのにはちょっと閉口したけど…

後半は第2番。
正直、第1番に比べると聴く機会はかなり少ない。
でも、ヤノフスキのキレの良いタクトは第2番でいよいよ絶好調。
この響きの薄いホール(「NHKホールをコンパクトにした感じ」と言えば当たらずとも遠からずか?)で、これだけ豊かにオケを歌わせるとは恐れ入りました。
彼の音作りには派手さが全くないけれど、その「あっさり感」が何とも魅力的。
シンプルなデコレーション・ケーキのように、また食べたくなる超一級品と言っても言い過ぎではない … と思う。



追記:
明日は第3番と一番好きな第4番。
でも、ここではなく芸劇に行きます。

周防 亮介2015年03月24日





2015年3月24日(火)
高関 健+東京交響楽団@東京芸術劇場

パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番(Vn:周防 亮介)
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ベルリオーズ:幻想交響曲
 ~ アンコール曲 ~
 ベルリオーズ:歌劇「ファウストの劫罰」から「ラコッツィ行進曲」

思い起こせば今から2年以上前。
当時高校生の「周防亮介君」が弾くブラームスのヴァイオリン協奏曲は鳥肌ものだった。
その記憶が鮮明に残っていたので、迷った末、ヤノフスキのブラームスの交響曲全曲演奏会第2夜には行かずこちらにやって来ました。

おや?
それにしても東響ってこんなに「女子率」高かったっけ?
半分は女性が占めているように見えるけど…
それに、結構美人が多いなぁ。
チェロや第二ヴァイオリンの女性、気になるなぁ。
これって「都民芸術フェスティバル」参加公演限定なんだろうか?

で、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番。
一説にはパガニーニが自分の腕を見せつけるために作曲したと言われているこの難曲を、彼は涼しい顔で弾ききった!
超絶技巧を超絶技巧と感じさせない彼、まさしく怪物だ。
ヤノフスキを諦めてこっちに来た甲斐があった。
ん〜、満腹満腹。

後半はベルリオーズの幻想交響曲。
本来ならこちらがメインディッシュのはずだけど、パガニーニが凄すぎたせいで感動は今一つ。
東響の面々、良い音出しているのに何だか申し訳ないなぁ…

グスターボ・ドゥダメル、若いのになかなかの実力者だ。2015年03月28日





2015年3月28日(土)
グスターボ・ドゥダメル+ロサンゼルス・フィルハーモニック@サントリーホール

マーラー:交響曲第6番「悲劇的」


去年9月のウィーン・フィルとの来日から半年。
今回は手兵ロサンジェルス・フィルハーモニックを引き連れてドゥダメルがやって来た。

演目はマーラーの交響曲第6番。
並の指揮者でも何とかなりそうな他のマーラーの交響曲と違い、この6番や7番は指揮者にとって難物の一つではないだろうか。
ダニエル・ハーディング以来、若くしてマーラーを上手く振る指揮者を見掛けていないけど、ドゥダメルはどうなんだろう。

演奏が始まった。
まず驚かされたのはロサンジェルス・フィルの弦。
金管が素晴らしいことは予想していたものの、弦は予想を遙かに越えていた。
特に、チェロやコントラバスのふくよかな響きは特筆に値すると思う。

ドゥダメルの力量なんだろうか。
オケとの息もピッタリ。ロサンジェルス・フィル完全に手中に収めている。
なるほど人気があるのも頷ける。
若いのになかなかの実力者だ。

最終楽章の最後の一音。
ドゥダメルの指揮が止まった。
10秒を越える静寂の時間。
でも腕は下ろされない。
と、どこからかフライングの拍手が…
あ~ぁ、何で我慢できなんだ。
何でこの無音の時間を楽しめないんだ。

その後は雪崩を打ったような拍手とブラボーの嵐。
ドゥダメルは舞台袖に引っ込んだり、また来たり。
何度目かの登場で、おやっ、オケのみんなが廻れ右してP席のお客さんに深々とお辞儀。
これ、P席に座っていると感動ものなんだよな。
そうそう、この光景、フィラ管の時にも見た記憶が…
もしかしたら、アメリカのオケにとっては当たり前の事なのかな?
これってとても良い事だから、他の国のオケも見習って欲しいなぁ。

追記:
開演前、席に座ってステージをぼんやり眺めていると、見知らぬ男性がいきなり目の前に立ちはだかった。
「6番の第二楽章はつまらないですよね?」とか「マーラーは第二楽章と第三楽章を入れ替えることを考えていたみたいですよ」とか、こちらの反応に全く無関係に話し掛けて来る。
「何なんだ、このオッサンは?」「何で俺に話し掛けてくるんだ?」
昔から、道を歩いていると観光客に道を尋ねられることが多かったけど、そんなに話掛け易い雰囲気なんだろうか?
客観的に自分を見ると、お世辞にもフレンドリーな外見じぁないと思うんだけど…

追記2:
左隣のおばちゃんには参った。
ガムを噛んでいるのか終始口をもごもごしているし、ハンカチで口をおさえたり離したりおさえたり離したり、手拍子はするし、頭をポリポリするし、咳はするし、終いには足踏みまで。
流石にここまで来るとADHDの可能性もあるので注意しても無駄だろうからじっと我慢我慢。
なるべくおばちゃんが視界に入らないよう、左手で左目横に壁を作る。
これで何とか凌げそうだけど、手が疲れるなぁ。

カウンター カウンター