ヤノフスキのブラームスはシンプルなデコレーション・ケーキ2015年03月23日



2015年3月23日(月)
マレク・ヤノフスキ+ベルリン放送交響楽団@武蔵野市民文化会館

ブラームス:交響曲第1番
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ブラームス:交響曲第2番
 ~ アンコール曲 ~
 ワーグナー: 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第3幕への前奏曲


本当は先週のサントリーホールでのブルックナーを聴きたかったけれど、業務都合により泣く泣くキャンセル。
でも、転んでもタダでは起きず、ここ武蔵野市民文化会館にやってきました。

今日はブラームスの交響曲全曲演奏の第一日目。
順番は前半が一番、後半が二番。
ん~、盛り上がりを考えると順番を逆にした方が良いような気もするけど…

第1番第1楽章の冒頭、オーボエ(?)がいきなりコケたので嫌な予感が頭をよぎる。
でも、リードの湿りが不十分だっただけなのか、その後は持ち直し、良い感じになってきた。

それにしても、ヤノフスキ。
小柄だけど眼光が鋭く、目を合わせるのが怖いほど。
彼のタクトはとてもシンプル。
極端な緩急強弱は用いず、平均より若干速めのテンポ。
でも、決して無味乾燥なものではなく、とても小気味良い。
オケの面々も適度の緊張を保ちながら、そして時に微笑を浮かべながらそれに追従。
特に弦の重く美しい響きはベルリン放送響ならでは。

最終楽章になってはじめて気づかされたのは彼の構成力。
プロゴルファーはゴルフコースの攻略法を練る時、グリーンでのパッティングから逆算して考えると言われているけど、彼も正にそれ。
第1、第2、第3楽章と進むにつれ、音の厚みが増して行き、最終楽章で最高潮に達するそのストーリーには素直に脱帽。
真後ろに座っているブラボーマンが「ブラボー」とか「ブラビー」とか何度も叫ぶのにはちょっと閉口したけど…

後半は第2番。
正直、第1番に比べると聴く機会はかなり少ない。
でも、ヤノフスキのキレの良いタクトは第2番でいよいよ絶好調。
この響きの薄いホール(「NHKホールをコンパクトにした感じ」と言えば当たらずとも遠からずか?)で、これだけ豊かにオケを歌わせるとは恐れ入りました。
彼の音作りには派手さが全くないけれど、その「あっさり感」が何とも魅力的。
シンプルなデコレーション・ケーキのように、また食べたくなる超一級品と言っても言い過ぎではない … と思う。



追記:
明日は第3番と一番好きな第4番。
でも、ここではなく芸劇に行きます。
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