ゲルギエフ、マリインスキー、そしてやっぱりフレイレ! ― 2014年10月14日
2014年10月14日(火)
ワレリー・ゲルギエフ+マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
(Pf:ネルソン・フレイレ)
~ アンコール曲 ~
グルック/ズガン・バーティー編:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」から「精霊の踊り」
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ショスタコーヴィチ:交響曲第8番
~ アンコール曲 ~
ワーグナー:歌劇「ローエングリン」から第一幕への前奏曲
台風一過で日中は日差しもあって気持ち良かったけど、午後になるとだんだん吹き返しの風が強くなってきた。
そんな中、いつもの如くサントリーホール前のオーバカナル赤坂の屋外席でビールを頂戴していると、薄闇に家族連れが…
良く見ると、細川元首相とそのご家族。
何やら一言二言会話をしながら、店内に入っていく。
へ~、有名人もこう言う所に来るんだなぁ~
何を注文するんだろう?
時刻は18:45。
そろそろ、席を立ってサントリーホールへ行かないと…
一歩ホールに入ると、いつもよりもパリッとした身なりの人が多い。
年齢層も若干上。
さすが、ゲルギエフ人気。
と、思っていたら、正装したカップルが足早に入ってきた。
なんと、その正体は葉加瀬太郎と高嶋ちさ子。
へ~、仲が良いとは知りませんでした。
前半はブラームスのピアノ協奏曲第2番。
ブラームスの交響曲で好きなのは何番ですか?
そうきかれて「ピアノ協奏曲第2番です」と応えたのはあの名指揮者ジョージ・セル。
この曲はそれぐらい骨太の重量級のコンチェルト。
後半がタコ8なので、焼肉定食を2回続けて食べる感じ。
心してかからないと…
で、結果はと言うと、「兎にも角にも、フレイレが神!」。
一本筋の通った気品ある演奏。
そこには、情感があり、色艶があり、景色がある。
どうも、今日のマリインスキー歌劇場管弦楽団の面々、第一楽章は特に「暖まっていない」感じ。
ゲルギエフの指揮にも100%のレスポンスではないように見受けられる。
それに比べてフレイレ。
決してハイテンションではなく、むしろ冷めたような演奏ではあるものの、その指から奏でられる一音一音はまさに宝石のよう。
オケの面々やゲルギエフは、フレイレに感謝しないといけませんねぇ~
後半はショスタコーヴィチの交響曲第8番。
一般受けを狙うなら5番を持ってくるところ、この8番。
何やらゲルギエフの気合いを感じます。
今回、前もって聴いてきたCDは1994年録音のゲルギエフ+マリインスキー(当時はキーロフ)。
それに比べると明らかに角が取れている!
ゲルギエフの指揮は良くも悪くも、ゲルギエフ節が要所要所で炸裂するけど、今回の演奏はそれが全くと言って良いほど影を潜めている。
洗練され、浄化され、この曲の持つ本来のメッセージがより強く伝わってくる。
ゲルギエフ臭さが薄まっているのはチョット残念な気もするけど、こう言うのを円熟って言うんだろうなぁ~
オケも前半の出だしとは違って情感豊かにゲルギエフに追従。
骨太で厚みのあるサウンドは、サンクトペテルブルグとはまたちょっと違ったとても魅力的なもの。
最初は日本のオケの方が上手いんじゃないかと思っていたけど、失礼致しました。
ゲルギエフのタクトが止まり、約30秒の無音の世界。
そして、ブラボーの嵐と割れんばかりの拍手。
久しぶりに良いショスタコーヴィチを聴かせて頂きました。
ゲルギエフが舞台の袖に退いても当然拍手は鳴り止まず…
だけど、足早に客席を立ち、出口に向かう集団が…
と、なんと、小泉元首相と細川元首相じゃないですか!
この二人、仲が良いんですね、プライベートでも。
アンコールはワーグナーのローエングリン第一幕への前奏曲。
涙が出るほど美しく哀しく心震えるワーグナー。
こんな完璧なワーグナー、聴いたことがない!
終演はほぼ22時。
10/8からの日本遠征で皆さんお疲れのはずなのに、こんなにすばらしい演奏をして頂き感謝に堪えません。
本当にありがとうございました。
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