ハイドンの弦楽四重奏曲 ― 2016年05月03日
平成28年5月3日(火)
モディリアーニ弦楽四重奏団@東京国際フォーラム ホールB5
ニコラ・ドートリクール←フィリップ・ベルナール(ヴァイオリン)
ロイック・リョー(ヴァイオリン)
ローラン・マルフェング(ヴィオラ)
フランソワ・キエフェル(チェロ)
ハイドン:弦楽四重奏曲第78番「日の出」
ハイドン:弦楽四重奏曲第67番「ひばり」
ホールB5入口近くに到着。
その脇に簡単なパーティションが立てられていて、中には何とモディリアーニ弦楽四重奏団の面々が。
なるほど、こう言う音楽祭、こう言うホールだと、いわゆる楽屋は無いんだ。
演奏は至って明瞭かつ軽快かつ端正かつ流麗。
前半の「日の出」は初めて聴いたけど、奏者が良いからなのかとてもチャーミング。
後半は有名な「ひばり」。
実に楽しい。
願わくば、もうチョットだけホールの残響があると言うこと無いんだけどなぁ。
「海」はドビュッシーだけじゃない ― 2016年05月03日
2016年5月3日(火・祝)
ドミトリー・リス+ウラル・フィルハーモニー管弦楽団@東京国際フォーラム ホールA
ドビュッシー:「海」-管弦楽のための3つの交響的素描
細川 俊夫:循環する海
実のところ、時間調整のためヤフオクで適当にゲットしたチケットだった。
当然、ドミトリー・リスもウラル・フィルもお初。
大した期待も抱かず席に着いた。
結果は…
大当たり。
大編成にも関わらず一糸乱れぬ演奏。
奏者個々人のパフォーマンスもハイレベル。
そしてマエストロ。
若干オーバーデコレーションな身振りではあるものの、そのタクトは確かなもの。
オケを意のままに見事にコントロールしている。
そして、一番の収穫は細川俊夫の「循環する海」。
ドビュッシーの「海」も素晴らしかったけど、こちらは更にハイレベル。
ドビュッシーが「動」とすればこちらは「静」。
ドビュッシーを「洋」とすればこちらは間違いなく「和」。
この何とも言えない無調の世界、とても心地良い。
演奏が終わるとマエストロが客席に向かって「立って!」とジェスチャー。
と、そこには作曲家の細川氏が。
会場の拍手は更に大きく、暖かくなった。
中村紘子、復活! ― 2016年05月04日
2016年5月4日(水)
飯森 範親+東京交響楽団@オリンパスホール八王子
モーツァルト:交響曲 第5番
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第24番(Pf:中村 紘子)
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ベルリオーズ:幻想交響曲
最初の曲はモーツァルトの交響曲第5番。
何と、モーツァルト9歳の時の作品。
嫌になるほどしかっりした曲。
なんでこんな天才が生まれたんだろう?
そして、今日一番のお目当ては中村紘子さん奏でるモーツァルトのピアノ協奏曲。
「病を得てそれを克服」と一言で言うのは簡単だけど、ご本人ご家族がどれだけの思いで過ごされてきたかを想像すると言葉が無い。
彼女の演奏を聴くのは約4年ぶり。
その時の演奏は、お世辞にも素晴らしいとは言いがたいものだったけど、今回は大いに期待して良いと思う。
結果は…
トリハダもの。
一音一音を愛しむように、優しく、軽やかに、語りかけるような演奏。
東響の木管女子4人組もナイスアシスト。
いつも思うことだけど、東響は他のオケに比べて女性比率が高いし、演奏も盤石。
世界に誇っても良いと言ったら言い過ぎかな?
後半は幻想交響曲。
残念ながら、こちらはモーツァルトに比べると特筆すべきものがなかった。
各楽章の彩りの違いをもう少しはっきり描いてくれたら、もっと幻想らしくなったと思ったのは自分だけかなぁ?
追記:
初めてのオリンパスホール八王子。
ふくよかな響きに馴染みがあるなと思って調べてみたら、やはり永田音響設計によるもの。
ただし、ミューザ川崎やサントリーホールに比べると若干音がぼやけ気味かな?
小林 愛実@ラ・フォル・ジュルネ ― 2016年05月05日
廖 國敏(リオ・クォクマン)+シンフォニア・ヴァルソヴィア@東京国際フォーラム ホールA
モーツァルト:セレナード第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番(Pf:小林 愛実)
~ アンコール曲 ~
ショパン:ノクターン第20番(遺作)
モーツァルトのピアノ協奏曲はどれも魅力的だけど、この27番は格別。
無駄な音符は全くないし、マニアックな技巧は凝らしていないし、押しつけがましいところも全くないし、本当にシンプル。
でも、そのシンプルさ故に心に深く静かに染みいって来る。
演奏が良い場合は…
そして本日の結果は…
いや~、良かった!
小林愛実さんのピアノは感情に溺れることなくとても穏やか。
「変に感情を込められてしまうと興ざめだなぁ」と思っていたけど、大変失礼致しました。
ショパンが上手なのは分かっていだけど、モーツァルトもここまでお上手だとは恐れ入りました。
アンコールはそのショパンのノクターン第20番(遺作)。
いつもの彼女の演奏とは異なり、音はあまり揺らさない。
なるほど、こう言うノクターン20番もまた味が合って良いなぁ。
今年のラ・フォル・ジュルネもこの曲で聴き納め。
あ~、来年が待ち遠しいなぁ。
~デビュー35周年記念~ 清水和音オール・ブラームス・プログラム ― 2016年05月08日
2016年5月8日(日)
アンドレア・バッティストーニ+東京フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール
清水 和音(Pf)
ブラームス:大学祝典序曲
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
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ブラームス:3つの間奏曲
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
初っ端は大学祝典序曲。
バッティストーニはお初。
なるほど、キレの良い指揮をするなぁ。
人気があるのも頷ける。
東フィルも良い音出してるな。
もうちょっとチケットが安いと言うことないんだけどな。
そして、清水和音奏でるブラームスのピアノ協奏曲第1番。
いやはや、虚飾を排した、端正で真面目なブラームスだ。
良い!
第二楽章の深遠な世界は正に未体験ゾーン。
後半はピアノ協奏曲第2番。
深い!
正確性は1番の方が上だったけど、この2番はグイグイ来る。
ソリストとマエストロとオケの見事なコラボでブラームスの世界を見事に表現。
今後の活躍も要ウオッチだなぁ。
トッパンホール15周年 室内楽フェスティバル V ― 2016年05月21日
2016年5月21日(土)@トッパンホール
ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)
ベルク(H.ミュラー編):4つの歌曲 Op.2(弦楽四重奏版)
ユリアン・プレガルディエン(テノール)
クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)
日下 紗矢子(ヴァイオリン)
原 麻理子(ヴィオラ)
ターニャ・テツラフ(チェロ)
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38
マリー=エリザベート・ヘッカー(チェロ)
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)
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ドヴォルジャーク:ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.81
クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)
久保田 巧(ヴァイオリン)
鈴木 学(ヴィオラ)
マリー=エリザベート・ヘッカー(チェロ)
マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)
圧巻だったのはブラームスのチェロ・ソナタ第1番。
曲が全体的に暗めなので、今まではそれほど好きな曲ではなかったけれど、ヘッカーの雄弁なチェロとヘルムヘンのアグレッシブなピアノのお陰でとても心躍る魅力的な曲に思えてきた。
いやはや、このお二人、覚えておかないと。
今回の一番の目的はドヴォルジャークのピアノ五重奏曲。
曲自体が素晴らしいし、鈴木さんのヴィオラが聴ける好機会。
結果は…
期待に違わぬ素晴らしいものだった。
鈴木さんの演奏する姿は、テツラフやヘッカーに比べると地味だけど、その音色は骨太で優しくて心休まるもの。
そして、ヘッカーが奏でるチェロは、ここでも歌心満載。
テツラフ、久保田両名のヴァイオリン、ヘルムヘンのピアノもメリハリがあり色鮮やか。
今回の室内楽フェスティバル。
奏者個人個人の技量が優れているだけでなく、全体の調和が素晴らしいものだった。
トッパンホールは初めてだったけれど、機会を作ってまた来よう。
追記:
クリスティアン・テツラフが長髪&ひげ面になっていた。
あまり似合わないような気がした。
妹のターニャがあまり活躍していなかったのが残念だった。
追記2:
ヴァイオリンの成田達輝さん似の男性がスタオベしていた。
あのスタオベ、ピアノに対してのもののように思えた。
テミルカーノフのタコ5 ― 2016年05月30日
2016年5月30日(月)
ユーリ・テミルカーノフ+サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(Vn:諏訪内 晶子)
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ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
~ アンコール曲 ~
エルガー:創作主題による変奏曲「エニグマ(謎)」から「ニムロッド」
チャイコンとタコ5。
贅沢な話だけど、両曲とも若干食傷気味。
でも、テミルカーノフのタクトとなれば話は別。
それにソリストが諏訪内さんとなれば行くしかない!
と言うことで、やって来ましたサントリーホールへ。
今日の席はいつものP席。
別名「貧民席」。だから、ホール全体が良く見渡せる。
空席は殆ど見当たらない。
なるほど、当日券がないのも頷ける。
定刻を過ぎ、オケのメンバーが集まってきた。
そして、暫しの静寂の後、舞台下手から紫のロングドレスを纏った諏訪内さんが颯爽と登場。
マエストロがその後に登場すると、拍手が一段と大きくなった。
チャイコンが始まった。
オケもソリストも、最初の一音から全く力みがない優しい演奏だ。
特に弱音部の精緻さが素晴らしく、正に細部にまで魂が宿っている。
もし、自分があと10歳若かったら、もう少し派手な演奏を望んだかも知れないけど、この年齢になると、このぐらいの落ち着いた演奏が心に染み入る。
後半はタコ5。
この曲の初演はレニングラード・フィル。このオケの前身だ。
その時のマエストロは、ムラヴィンスキー!
さあ、テミルカーノフはこの曲をどう料理してくれるのでしょう?
結果は…
かなり抑制の効いた理性的なタクトだった。
細かい緩急強弱はあるものの、派手な演出は一切なし。
音量的にも、このオケの持っているパワーからすると、最大で90%程度の出力と言ったところだろうか。
まあ、それにしても、フルートをはじめとする木管の美しさ、ホルンの盤石の安定感、弦の一糸乱れぬアンサンブル等々、オケ全員の技量や表現力がハイレベル。
前回聴いた時より一段とレベルアップしている。
ムラヴィンスキーの色香はすっかり失せてしまったけど、これがテミルカーノフが築き上げた新しいサンクトペテルブルグ・フィルサウンドなんだろうなぁ。
追記:一般参賀一回あり。
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