ハイティンク来日公演その1-プログラムC2015年09月28日




2015年9月28日(月)
ベルナルト・ハイティンク+ロンドン交響楽団@サントリーホール


モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番(Pf:マレイ・ペライア)
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マーラー:交響曲第4番(Sp:アンナ・ルチア・リヒター)


いよいよやって来ました御年86歳の大巨匠ベルナルト・ハイティンク!
一昨年はブルックナーの9番で打ちのめされ、ベートーヴェンの7番で落涙しそうになったことが今でも思い起こされる。
さて、今回はどんな感動を与えてくれるんだろう?

定時を過ぎ、LSOのメンバーがステージに登場。
ほぼ全員揃ったところで1stヴァイオリンの首席(コンマスではない)が起立し、オケのチューニングが始まった。
その後、若くて大柄なコンマスが登場しチューニングせずに着席。
ん~、ちょっと不思議な光景だなぁ。

しばしの静寂の後、舞台下手からペライアそしてハイティンクが登場。
今日の席は1階中央の最後列。
なので、豆粒程度にしか見えないけど、遠目にも一昨年と変わらず元気そうなハイティンクの姿が確認できた。
まずは一安心。

最初の曲はモーツァルトのピアノ協奏曲第24番。
24番を生で聴くのは今回が初めて。
陰鬱なイントロが何とも不気味、かつモーツァルトっぽくなくて面白い。

ペライアのピアノは、透明で、刺々しさが一切なく、キラキラしている。
特に彼の第2楽章は正に天上の音楽。
モーツァルト他の曲も含めて、その素晴らしさをこれほど見事に表現した演奏を今まで聴いたことあったかな?

残念だったのは、オケのアンサンブルに若干の乱れがあったこと。
木管は良い音を出しているけど、弦と金管が調子が今一つみたいだ。
それと、聴いている席のせいなのか、全体的に音のエネルギーが不足しているように感じられた。
ハイティンクがこのモーツァルトのコンチェルトの機微を室内楽のように繊細に表現しようとしている様子は分かるけど、音が十分に届いてこないことには話にならない。


後半はメインディッシュのマーラー4番。
この4番。6楽章からなる長大で重厚な第3番と、第4楽章「アダージェット」があまりにも有名な第5番との間に挟まれた一服の清涼剤のような交響曲。
さて、ハイティンクはどんな演奏を聴かせてくれるのでしょう。

結果は…
前半のモーツァルトと打って変わって、冒頭から楽器達が喋ること歌うこと。
編成が重厚になったからなのかは分からないけど、まるで別のオケのよう。
第1、第2楽章も素晴らしかったけれど、特に第3楽章の美しさにはすっかり魂を奪われてしまった。
決して華美ではないけれど、じんわり心に染み込んでくる音造りはハイティンクならでは。
そして、とどめは最終楽章のリヒターの美声。
刺々しさが一切なく、正に澄み渡る秋の青空のよう。
そして、上手いだけではなく、オケとの調和も抜群。


ハイティンク、リヒター、そしてLSOの皆さんのお陰で、マーラー4番の新たな魅力に気付くことができました。
ありがとうございました。

追記:
サントリーホールの1階最後列は音がプアーだと言うことに気付かされた。
22,000円は高過ぎだよなぁ。

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