短気は損気2015年08月04日



2015年8月4日(火)
ワレリー・ゲルギエフ+PMFオーケストラ

ロッシーニ:オペラ「ウィリアム・テル」序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(Pf:ドミトリー・マスレエフ)
 ~ ソリスト・アンコール曲 ~
 チャイコフスキー:18の小品から踊りの情景、トレパークへの誘い
 メンデルスゾーン(ラフマニノフ編曲):「真夏の夜の夢」からスケルツォ
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ショスタコーヴィチ:交響曲第10番

つい最近まで激戦が繰り広げられていたチャイコフスキー国際コンクール。
今日は「そのピアノ部門の優勝者の演奏を生で聴くことができる!」と意気込んでここサントリーホールにやって来ました。

しかし、残念ながら結果は今一つ。
まず第一に、音が小さい。
緊張しているのか遠慮しているのか分からないけど、オケの音にピアノのそれが完全に負けている。
素人が聴いて分かるぐらいだから、かなり酷いレベルじゃないだろうか。

次に独りよがり。
マスレエフにはゲルギエフの指揮を見る余裕がないのか、完全にマイペース。
だから、ソロに近いパートは良い感じに聞こえるけど、オケと絡む部分は協奏曲になっていない。
聴いていて、不快感が次第に募ってきた。

はっきり言って「看板に偽りあり」。
「マスレエフを聴くためだけにやってきたお客さん、可哀想だなぁ。」と思いつつ、演奏が終わって早々に席を立った。
気分転換にホワイエでワインを飲んでいたら、扉越しにアンコール演奏が聞こえてきた。
ん?
何だか良い感じのピアノだなぁ。
ラフマニノフの2番より、音が生き生きとしている。
あ~あ、もうチョット我慢していれば良かったのに失敗したなぁ。
結局、アンコールは2曲。
「短気は損気」とは正にこのこと。

後半は、ショスタコーヴィチの交響曲第10番。
前半が散々だったので、チョット心配。

結果は…
前半のモヤモヤを吹き飛ばす快演。
時に暴力的、時に物静かに、時にむせび泣くかと思えば、時に勇ましく。
ゲルギエフのショスタコーヴィチは、聴いていていつも気持ちが良い!

再確認できたことと言えば、ゲルギエフ臭さがより薄まってきたこと。
以前は、いわゆる「ゲルギエフ節」が鼻に付いたけど、今回の演奏ではそんなことは全く無し。
思えばマエストロももう60歳過ぎ。
一抹の寂しさを覚えはするものの、自然な流れなんだろうなぁ。

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