テミルカーノフのタコ5 ― 2016年05月30日
2016年5月30日(月)
ユーリ・テミルカーノフ+サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(Vn:諏訪内 晶子)
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ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
~ アンコール曲 ~
エルガー:創作主題による変奏曲「エニグマ(謎)」から「ニムロッド」
チャイコンとタコ5。
贅沢な話だけど、両曲とも若干食傷気味。
でも、テミルカーノフのタクトとなれば話は別。
それにソリストが諏訪内さんとなれば行くしかない!
と言うことで、やって来ましたサントリーホールへ。
今日の席はいつものP席。
別名「貧民席」。だから、ホール全体が良く見渡せる。
空席は殆ど見当たらない。
なるほど、当日券がないのも頷ける。
定刻を過ぎ、オケのメンバーが集まってきた。
そして、暫しの静寂の後、舞台下手から紫のロングドレスを纏った諏訪内さんが颯爽と登場。
マエストロがその後に登場すると、拍手が一段と大きくなった。
チャイコンが始まった。
オケもソリストも、最初の一音から全く力みがない優しい演奏だ。
特に弱音部の精緻さが素晴らしく、正に細部にまで魂が宿っている。
もし、自分があと10歳若かったら、もう少し派手な演奏を望んだかも知れないけど、この年齢になると、このぐらいの落ち着いた演奏が心に染み入る。
後半はタコ5。
この曲の初演はレニングラード・フィル。このオケの前身だ。
その時のマエストロは、ムラヴィンスキー!
さあ、テミルカーノフはこの曲をどう料理してくれるのでしょう?
結果は…
かなり抑制の効いた理性的なタクトだった。
細かい緩急強弱はあるものの、派手な演出は一切なし。
音量的にも、このオケの持っているパワーからすると、最大で90%程度の出力と言ったところだろうか。
まあ、それにしても、フルートをはじめとする木管の美しさ、ホルンの盤石の安定感、弦の一糸乱れぬアンサンブル等々、オケ全員の技量や表現力がハイレベル。
前回聴いた時より一段とレベルアップしている。
ムラヴィンスキーの色香はすっかり失せてしまったけど、これがテミルカーノフが築き上げた新しいサンクトペテルブルグ・フィルサウンドなんだろうなぁ。
追記:一般参賀一回あり。
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