小林研一郎と小山実稚恵のベートーヴェン2016年06月03日




2016年6月3日(金)
小林 研一郎+日本フィルハーモニー交響楽団@杉並公会堂

ベートーヴェン:交響曲第1番
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」(Pf:小山 実稚恵)
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ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」


棚からぼた餅で手に入れた「コバケンのベートーヴェン交響曲チィクルス第1回」のチケット。
開演時刻5分前に杉並公会堂に到着。

溌剌とした交響曲第1番の次は、小山実稚恵奏でる「皇帝」。
何と言っても、生まれて初めて生で聴いたコンチェルトがこの曲。
時は1977年11月。場所は普門館。
指揮はカラヤン、ピアノはワイセンベルク。
思い入れは人一倍ある。

ワインレッドのロングドレスを纏った小山さんが舞台下手からご登場。
温かい拍手が鳴り止み、演奏が始まった。
優しいタッチで曲が進んでいく。
ところが、どうした訳か今日の小山さんはミスタッチが多い。
それどころか、一瞬とはいえ、違う小節を弾く場面が複数回あった。
一体どうしちゃったんだろう?
せっかく休暇をとって聴きに来たのに、これでは休暇をとった意味がない。

気を取り直して、後半は「運命」。
何度も聴いている曲だけど、良いものは良い。
さすが日フィル、細部にまで神経が行き届いている演奏だ。
地元のオケだから贔屓する訳ではないけれど、このオケは「手抜き」と言うことを知らないらしい。

皇帝には満足できなかったけれど、運命は大満足。
コバケン先生、次回も宜しくお願い致します。

セガン&フィラ管のブルックナー「ロマンティック」2016年06月03日



2016年6月3日(金)
ヤニック・ネゼ=セガン+フィラデルフィア管弦楽団@サントリーホール

シベリウス:交響詩「フィンランディア」
武満徹:ノスタルジア―アンドレイ・タルコフスキーの追憶に―
(Vn:五嶋 龍)
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ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」


今年は武満徹没後20年。
だから彼の作品が演奏される機会が増えるのは当然のことだけど、それにしても今年は一体何回「生ノスタルジア」を聴いたことになるんだろう?
否が応でも、ノスタルジアに対しては耳が肥えてくる。

フィラ管の弦は一糸乱れぬ美しいハーモニーを奏で、五嶋龍は内省的な淡々とした、かと言って無味乾燥ではない世界を築き、何より全体をまとめ上げるセガンの力量には恐れ入った。

後半はブルックナーのロマンティック。

結果は…

近年稀に見る美しいブルックナーだった。
一言で言ってしまえばこれが「フィラデルフィア・サウンド」なんだろうけど、それだけでは済まされない「豊か」で「若々しい」演奏は、ヨーロッパや日本のオケでは決して聴くことのできないものだと思う。

前回聴いた時もそうだったけれど、セガンの統率力には一段と磨きがかかり、正にオケを意のままにコントロール。
40歳そこそこでこれだけの演奏を弾き出すとは、10年後、20年後が恐ろしく楽しみ。
健康に留意して長生きしないと…

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