ラルス・フォークト&ダニエル・ハーディング ― 2015年07月03日



新日本フィルハーモニー交響楽団 第544回定期演奏会
2015年7月3日(金)
ダニエル・ハーディング+新日本フィルハーモニー交響楽団@サントリーホール
ブラームス:悲劇的序曲
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
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ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(Pf:ラルス・フォークト)
サントリーホール1階トイレ前のソファでパンフレットの選別をしていたら、隣にドカンと荷物を置く人が…。
誰かと思ってそっと顔を覗いてみると、件の「サスペンダーおじさん」。
うん、間違いない、明らかに髪の毛が短くなっている。
と、おじさん、開演3分前だと言うのにトイレに入っていった。
ん~、さすがマイペースだわ。
今日の席は左ブロックの前から2列目最右席。つまり、センターブロック最前列のすぐ近く。
この席だとどんな現象が起きるかと言えば…
指揮者を見る視線の先がサスペンダーおじさんだと言うこと。
その距離およそ2m。
ちっ、近い!
ハーディングを聴くのは久しぶり。
前回は自分のコンディションが悪かったので、十分楽しめなかったけど、さてさて今回はどうでしょう?
前半の2曲。
ハーディングの手腕なのか、NJPの力量なのか、非常に透明感のある、かつ全く乱れのない演奏。
疲れた身体と心が癒されます。
敢えて気になった点を挙げるとすれば、ほぼ最前列で聴いたにも関わらず「圧倒的な音圧」は感じられなかったこと。
ハーディングが意識して音を抑えているのかも知れないけど…
さてさて、いよいよ後半はブラームスのピアノ協奏曲第2番。
かの名指揮者ジョージ・セルが「一番好きなブラームスの交響曲は?」と訊かれて「ピアノ協奏曲第2番です。」と答えたとの逸話があるぐらいの堂々とした大曲。
そして、ピアノはラルス・フォークト!
ようやく生で聴ける。うれしい!!
結果を一言で言ってしまえば、フォークトの演奏は豪快かつとても繊細だった。
ただ、それではあまりにも言葉足らず。
時に音符と戦うように、時に音符に寄り添うように、時にオケと会話をするように、時に聴いている者に問いかけるように…
ピアノを弾いていると言うより、まるで歌っているかのよう。
そして、何と言っても第3楽章。
冒頭の郷愁を帯びたチェロのソロ、まずこの先制パンチで打ちのめされ、チェロとピアノの駆け引きで追い打ちをかけられ、涙腺崩壊一歩手前。
今日の首席は木越洋さん。長年N響の首席を務めた方。
流石です。参りました。
最終楽章の最後の一音が鳴り止み、ハーディングのタクトが静かに降ろされた。
盛大な拍手に応え、フォークトが一礼。
そして、ハーディングと抱擁を交わした後、まず向かったのが木越さんのところ。
一度、舞台袖に引っ込み、再登場したフォークト。
またまた向かったのは木越さんのところ。
フォークトも木越さんの演奏に思うところがあったんだろうなぁ。
今回のブラームスのピアノ協奏曲第2番。
今まで聴いた中では最高の「生2番」だった!
こう言うことがあるから、生音は止められないなぁ。
追記:
定期だから仕方ないけど、できればフォークトのアンコール、聴きたかったなぁ。
追記2:
クラシカル・プレーヤーズでもお馴染みの豊嶋さんが今日のコンマス。
存在感が希薄で、チョット可哀想だった。
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