受け継がれていくもの2015年05月01日





2015年5月1日(金) 

Vn:イヴリー・ギトリス

ヴァハン・マルディロシアン+日本フィルハーモニー交響楽団@東京オペラシティ

J.S.バッハ:G線上のアリア 
J.S.バッハ:2つのヴァイオリンのための協奏曲(2ndVn:木野 雅之)

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マスネ:タイスの瞑想曲
サン=サーンス:ハバネラ
J.S.バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番
 ~ アンコール曲 ~
 成田為三:浜辺の歌(ギトリス編曲の変奏曲)


その昔、かの吉田秀和氏が来日した齢80歳(ぐらいだと思う)のホロヴィッツの演奏を聴いて「ひび割れた骨董品」と評したことは有名な話だけれど、この8月に93歳になるギトリスの演奏もそれに類するもの。
ピッチが不安定になるのは当たり前、ボウイングの強弱が怪しくなったり、隣の弦を弾いてしまったり、緩徐部で指がもつれたり…

では、「聴くに値しないか?」と問われたら、答えは「いいえ」。
聴いたことのない者は一度は聴くべき。

演奏直前にメガネに息を吹きかけレンズを磨いたり、調弦を弟子の木野さんが手伝ってくれると大きな声で「Thank You」と言ったり、トークコーナーでは8歳の女の子を「失敗を恐れるな」と優しく鼓舞したり、とにかくチャーミング。

その人柄がなせる技なのか、演奏がチョット怪しくなってくると、すかざず木野さんが見事にフォローしてバランスを保つは、指揮者のマルディロシアンがテンポを調整するは、日フィルの面々が自発的に強弱を調整するは…
こんなに奏者の一体感を感じたのは久しぶり。

「音楽を心から愛していて、演奏することが大好き」。
その心根が次世代の演奏家にしっかりと受け継がれていく様を見届けられた、最上のコンサートだった。


追記:
当初予定されていたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が後半の3曲に変更された。
正解だと思う。

追記2:
ハバネラ。かなりの速弾きだった。

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